素直な感想を言いますと「凄い」の一言に尽きます。
今年は本当にクオリティの高い作品ばかりで、映像学科の本気を見たように思えました。
正直言って、学生映画は「見れたもんじゃない」作品もたくさんあるので、観客は「見ないといけない」よりも「まぁ見るか」という軽い気持ちの方が多いです。
ですが今回は違いました。「これ、学生が作った作品?」と思うほどの素晴らしい出来の作品が多い事多いこと、学生映画特有の雑だけど勢いのある映画ではなく、ちゃんと構成された丁寧な映画なんです。
そんな中で一番と言っても過言ではない作品はアベラさんという方が監督した
「死にたすぎるハダカ」でしょう。
凄いんです。もう気迫が違うんです。作品から何か出てますねコレ。本気で作ったっていうオーラが。
先輩達の映画に限らず、学生映画は映像学科の人間としては「作品を見る」ではなく「技術を見る」
というのがあります。
全部とはいいませんが50%以上はその視点で作品を見ています。だから半分は曖昧にみて極論「所詮学生映画」という価値観はぬぐい去れません。しかし、この作品は違いました。もう作品がみたくなる。技術とかどうでもいいや。もう。普通に展開見よう。ってなりましたよ(笑)
最初は主人公の独断上だと思っていたら、うまい事ヒロインの心情も描く二段構成になっていて、どこか小説的な、独特の空気、そして、主人公の葛藤がとにかく素晴らしい。
事実を知った主人公のヒロインに対する「あなたは誰ですか?」このセリフはいい。この一言で主人公の絶望が全て垣間見れる、同じ状況になったら誰だって思います。君本当に誰?今までの君何だったの?俺が好きになったあの子はどこ行ったの?
しかし、現実に向き合い全てを受け入れた主人公がビデオカメラで告白する。ここで正直泣きそうになりました(笑)だってすごいんだもん。同じ状況になった時、自分は受け入れる事が出来るのだろうか。今の自分では無理です。完全な偏見の下生きています。
何か皆さんすいませんと言いたいです。俺は堅物でした。
今の自分の心情にグサッと突き刺さる主人公の感情に本当に感動しました。
撮影も丁寧で、かつアグレッシブ。個性的なキャラクター。
そして、何よりというかやはりというか(笑)注目して欲しいのはカメラですね。
この映画で使用したカメラはNEX-VG10という民生機なんです!!
http://www.sony.jp/handycam/products/NEX-VG10/ |
まぁ、民生機という事については最近は驚くことはないでしょう。プロの現場でも当たり前の様に使われているEOS機やその他、大型センサー型カメラの大半は民生機です。知らない人は驚くかもしれませんが、最近のスタンダードは一眼のムービー機能で撮影することなのです。
ですからこのVG10も形こそビデオカメラですけれど、システムは一眼と何も変わりません。
大型センサー最大のメリットの「浅い被写界深度」と「レンズ交換による多様な描写」をうまく使うことができます。
ですが、このカメラってたしか・・・そう30Pでしか撮影できないんです!!
映画はフィルム時代から一秒間に24コマ流れる方式で撮られて来ています。それをデジタル的に再現したのがP=プログレッシブ方式と言いまして、で強制ではありませんが大体この方式にしたがって、「映画を撮るなら24P」という風潮があります。
でもこのカメラ。レンズ交換式大型センサー搭載のくせに24P撮れないんですよね。
最近の奥様向けのカメラですらシネマモードと言って24P搭載しているにも関わらずですよ。
30Pと言えばテレビ企画などに対応したドラマなどを撮る場合に使用するプログレッシブです。ですから映画向きではないことは確かです。決して映画が撮れないという意味ではありませんがどうも映画独特のカクツキが無いというか滑らかすぎるように見えるんです。
しかし、30Pで撮ったにも関わらず、この作品は正真正銘の「映画」でした。なんかもう関係ありませんでした(笑)
というかこの作品、撮影方法からしていろいろ謎です。
なぜVG10にしたのか。30Pである必然性はあるのか。レンズはキットレンズしか使ってないのか。
水上撮影の多い作品でVG10はどうしたのか。ハウジングを組んだのか、はたまたそのシーンだけ別のカメラを使ったのか。
撮影にも非常に興味深い、素晴らしい映画でした。
学生映画で感動したのは初めてです。いやぁ、すごかったね。
この作品だけやたら長く書いてしまっているので他はその②にまとめます。
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